ART-SCHOOL 「BABY ACID BABY」

BABY ACID BABY

BABY ACID BABY


ギターロックに誘われた子供。


大幅なメンバーチェンジは木下理樹にとって少し足を止め、自分自身の核の部分を見つめ直すきっかけになったのかもしれません。グランジオルタナティブ、ドリームポップといった80〜90年代頃の所謂 (荒めな部類の) ギターロック全般に対する愛着や憧憬、エッセンスが様々な配分でまぶされ、なおかつメロディや歌詞はいつもの内省的でナイーブなリッキー節が貫かれた、これぞアートと言える内容に仕上がっています。 「良い曲を書く」 「やりたいことだけをやる」 「セッションを楽しむ」 そんなバンドマンとしてのスタートラインに再度立ち、自分らしい王道の音というものを再定義する、という姿勢が楽曲、演奏から感じられます。


ダルなグルーヴで凄みを効かせる表題曲 「BABY ACID BABY」 、牧歌的な雰囲気の中にも一抹の切なさ/危うさが忍ぶ 「CRYSTAL」 、ファンクとブルースと NUMBER GIRL が三位一体になったような 「INA-TAI (BREATHLESS)」 、トライバルなディスコビートが歯切れよく身体を撃つ 「WHITE NOISE CANDY」 、幻惑的で暖かなサウンドスケープが未来もしくは死への道を示す 「We're So Beautiful」 など12曲。部分的に killing Boy を経た上の影響も感じさせつつ、おそらく ART-SCHOOL として鳴らせる音は全てこの12曲に入ってるんじゃないかと思います。


第1期の代表作が 「LOVE/HATE」 、第2期の代表作が 「PARADISE LOST」 だとするなら、今作は第3期の代表作となるかもしれません。解散寸前のヘヴィな状況にまで追い込まれて、それでも進むことを決めたのだから、これ以降にはさらに充実した作品が待っているかもしれませんが。とりあえず復帰1発目としては手応え上々。ジャケットも秀逸ですね。


フルレンスとしては3年ぶりとなる6作目。


Rating: 7.8/10