川田まみ 「SQUARE THE CIRCLE」

SQUARE THE CIRCLE 〈初回限定盤〉

SQUARE THE CIRCLE 〈初回限定盤〉


川田まみ」 って名前だけだと田舎の純朴そうな娘ってイメージを想像するのに。


切れ味鋭いヘヴィギターとスタイリッシュに洗練された打ち込みサウンド。オープナー表題曲 「SQUARE THE CIRCLE」 からインダストリアルといっても差し支えない勢いのエッジィなトラックで攻めてきます。川田嬢のヴォーカルはどちらかというと優しい丸みを帯びた声質で、少々のギャップを感じさせながらも凛とした姿勢で歌声を朗々と響かせる。また疾走感あるエレクトロ・ロックンロール 「No buts!」 や、トランスのアッパーなダンスグルーヴで身体を突き上げる 「my buddy」 「See visionS」 など、肉感的で即効性のあるアグレッション、無機質なクールネスに明快でキャッチーなメロディを綺麗に合致させたデジロック J-POP の応酬です。


他では完全インストで近未来ディストピア世界を描く 「Usual…」 のような硬派な曲がある一方で、曲名通りハンドクラップを誘発するサマーソング 「Clap! Clap! Clap!」 、ポジティブな歌詞と風通しの良いサウンドがマッチした 「らせん階段」 なんかがあったり、ダークとライトを巧みに切り替えられる点にもヴォーカリストの力量が現れてますね。トラックの押しの強さに反してメロディ/歌はクセがなく、キャッチーではあるけれどもあまりゴテゴテしすぎず自然に聴けるというのも、楽曲の魅力としてあるかと思います。この歌声の柔らかさが他のシンガーとの差異かなと。


正直やってることって前作 「LINKAGE」 と全く変わっていないのですけども、それでもこのクオリティを維持できるというのは凄いこと。安心安定の一発です。


北海道出身のシンガーによる、2年5ヶ月ぶり4作目。


Rating; 8.3/10