NINGEN OK 「体温の行方」

体温の行方

体温の行方


昨年の春に KAIKOO フェスに行ったんですが、その時のインパクト大賞が彼らでした。


武骨にささくれ立ったギターサウンドの鋭さ、マスロック的な変拍子で目一杯交えながらダイナミックなグルーヴを叩き出すドラムス。ロックバンドとしての最小編成ながらそこから発せられるエネルギーは想像を遥かに超えるものでした。静かな緊張感がピンと張った空気の中で、研ぎ澄まされたアグレッションといぶし銀のポップネス、衝動とインテリジェンスが交錯して巨大なひとつの渦を生み出そうとする、その様はすでに異形の個性を発揮していました。


そして今作。敢えての全編モノラルミックスは彼らの主義/志向をよりインパクトの強い形で打ち出すことに貢献しています。またサポートのシンセが全曲で参加しており、滲み出る郷愁をより艶やかで瑞々しいものに変え、彼らの音世界を一層奥行きのあるものにしています。ただそういった工夫を凝らしていても、今回の録音はライブで感じた時の衝撃よりも弱く、食い足りなさを感じてしまいます。こちらの期待値が高すぎたせいか、本来の迫力が随分とスポイルされているように思う。中低音の成分が足りないからか?所謂ライブバンドがスタジオワークで直面する壁に彼らも今、立ち塞がれているようです。それでも 「NINGEN LUCKY」 「NINGEN THANK YOU」 など、目まぐるしく展開を重ねて熱量を上げていく楽曲には思わず身体を揺さぶられるのですけども。


金沢出身の2人組による初フルレンス。


Rating: 6.9/10