illion 「UBU」
- アーティスト: illion
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2013/03/06
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
ラッド聴いたことないけど。
ピアノやストリングス、あるいはバンド編成による生演奏とエレクトロニクスの有機的なマトリクス。そこから生まれるサウンドスケープは牧歌的で何処かファンタジック、しかし荒涼とした冷たさやある種の毒も内包しており、ちょうど Radiohead とトクマルシューゴを足して割ったような、インテリジェントで内省的な作風になっています。海外インディの質感を強く意識したところがありつつ、日本人らしいポップ感が滲み出てる部分もあったり、そこには海外進出を目論むある種の気張りが読み取れなくもない…まあそんな深読みは音楽聴く上では必要ないですけども。
荘厳な美しさで入り組んだ迷路のような今作の幕開けを宣言する 「BRAIN DRAIN」 、古語を用いた歌詞とメロディが仄かにオリエンタルな雰囲気を醸し出す 「MAHOROBA」 、複雑骨折したファンクグルーヴがアグレッシブに迫る 「BEEHIVE」 、タイトル通り柔らかな声の重奏をメインとした 「GASSHOW」 など14曲。優しいフォーク曲や音響的な実験曲、場面によってはモロに 「Hail to the Thief」 あたりのレディヘだったりするのですけど、彼の元来持つメロディ感覚、ヴォーカルを武器とすることでアイデンティティを持ってるかと。
正直、 「日本人があえて海外向けに意匠をこらした」 という感覚が良くも悪くも目につくのですけど、単純に最近のエレクトロ・インディロックとしては自由度高く、不思議な色味が出ていて面白いのではないかなと思います。ひょっとしたらこういった音楽性をバンドに持ち込みたかったけど無理があった…という思惑もあるのかしら。まーきっとバンド本隊のイメージを抜きにして聴いた方が楽しめるでしょう。
野田洋次郎 (RADWIMPS) によるソロユニットのデビュー作。
Rating: 6.7/10