OGRE YOU ASSHOLE 「confidential」

confidential

confidential


秘密であるが故の背徳感。


サイケ/クラウトロック化著しい最近のオウガですが、今作ではすっかり己の血肉と化したそのサイケデリアを過去の楽曲にまで持ち込み、より一層スウィート、なおかつ神経性の毒素が盛り込まれ、インテリジェントな変態性を目一杯に発揮しています。ずぶずぶと底なし沼に嵌っていくような、生温い心地良さと裏腹の緊張感。アルバムタイトル通り秘匿にしておいた方が良かった具合の妖しさは、原曲を知らない方でも、知っていれば尚更、脳髄から末梢へと身体を侵していきます。


桃源郷のような甘美な浮遊感がウィスパーヴォイスで助長された 「真ん中で」 、落ち着いたテンポで AOR ソウル風の意匠が盛り込まれた 「また明日」 、スペーシーな深みと土着的ファンクネスが密接に絡み合う 「フェンスのある家」 、骨組みだけ残してシュール極まりない姿となった 「フラッグ」 、曲名と真逆を行く不穏なダークネスが吐き出される 「素敵な予感」 など8曲。サイケ、ソウル、ファンクといった要素が主体となり、横ノリのグルーヴを徹底追及している現在のオウガだからこその魔改造ナンバーがズラリ。


しかしながら、今作を聴いた後に改めて原曲を聴いてみると、どちらのテイクにも違和感を感じないのですよね。元来の彼らは所謂ギターロックではありましたが、単なるポップロックでは終わらない懐の深さがあったし、複雑で理知的なアンサンブルと牧歌的なメロディという点では常に共通してる、故に今のオウガによるアレンジもナチュラルなハマり方。だいたいこの手のリテイク作って原曲の持つ良さを超えられないことが多いのですが、これは別。過去から現在に至る変化の道程がごく自然であったことを雄弁に語るような、無理のない新しさが詰め込まれた良作であると思います。


初となる過去曲のリアレンジアルバム。


Rating: 8.0/10