電気グルーヴ 「人間と動物」

人間と動物(初回生産限定盤)(DVD付)

人間と動物(初回生産限定盤)(DVD付)


唯一の動物らしい動物が牡蠣とは。


全編ほぼ同じ BPM で統一された歌モノアルバム、というコンセプトありきのこのアルバム。電気で歌モノと言えば当然思いつくのは 「Shangri-La」 や 「N.O.」 などですが、今作ではそこまで切なさや甘さの立った場面は少ないです。語感重視のヴォーカルは歌とサウンドの中間のような位置づけで、基本は洗練されたエレクトロサウンドの窓口を広げるガイドみたいなもの。トータリティはありますがそこまで肩肘張った感じはなく、全体的にはコンパクトに収まっていてある種の余裕が感じられるような内容です。


とは言っても 「P」 の中詰では泥酔状態のボイスパーカッションがカオティックに展開したり、時にはキチガイ中年の悪ノリが頭をもたげる場面も。他ではアンニュイな憂いが心地良く流れる 「Slow Motion」 や、シングル曲 「Missing Beatz」 「Shameful」 のファンキーな格好良さはさすがマエストロ。ただやはり初期のやけっぱちなバカバカしさや革新に挑戦する中期に比べれば随分とあっさりした味ではあるので、往年の凄みを期待すると肩透かしを食らうかも。良くも悪くもベテランらしい落ち着きが最も印象に残るアルバムでした。


3年半ぶりとなる12作目。


Rating: 6.2/10