FLUID 「MAGIC MACHINE MUSIC」

Magic Machine Music(マジック・マシーン・ミュージック)

Magic Machine Music(マジック・マシーン・ミュージック)


水と電気で感電死!


自分がたまにしかチェックしてないのもありますが、聴くたびにメタモルフォーゼを遂げてるバンドだなーと。一番最初にボロフェスタ (まだ京大西部講堂でやってた頃) で見た時は女性ヴォーカルをフロントに据えたスタイリッシュなシンセポップだったし、数年前に 「FORMAT YOUR FLUID」 を聴いた時は女性ヴォーカルはすでにおらず、瞬発力と肉体性が一気に強化されたデジタル・ポストパンサウンドと化していました。そして今作。ギターが一人増員された結果サウンドはより立体的、多角的に鼓膜を刺激し、相変わらずのフットワーク軽いアグレッションを保ちながら、ますますプログレッシブな音像でナイフを突き刺してきます。


不穏な緊張感の中でサウンドがカオティックに渦を巻く 「New World」 、ギッチギチのベースが力強いグルーヴを生み出す 「Mutant Disco」 、だんだんクラウトロックにも似た恍惚感が湧いてくる 「Short Cut Rockers Ver.2.2」 、パンキッシュな勢いにこのバンドの持ち味が強く出た 「Vertual Fighter 20xx」 「This Is My Revolution」 など13曲。高音と低音を強く出し、中間は残響と電子音で埋めるといった具合で、ドンシャリ感の強いサウンド作りが楽曲のカオスっぷりを助長してるように思います。デジタル×ポストパンクとしてまず思いつくのは POLYSICS ですが、ポリが作品を重ねるごとにタイトでポップになっていってるのに対し、こちらは良くも悪くも垢抜けない、アンダーグラウンドの刺々しさがバリバリ。


彼らの場合、テクノ要素を取り入れようとしても、根っこにきっとハードコア好きの魂が眠ってるのでしょう。その場の生々しいサウンドを空気ごとパッケージする、ライブ現場主義とも言える楽曲群。金属質のソリッドさを持ちつつも流体のような不定形/変幻自在の不敵さを併せ持つ、奇妙な個性だと思います。


京都出身の4人組による、4年ぶり3作目。


Rating: 7.3/10