amber gris 「AROUND CHILDREN」
- アーティスト: amber gris
- 出版社/メーカー: an griffon
- 発売日: 2013/02/27
- メディア: CD
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この初回盤はいい初回盤だ!
前作 「pomander」 は優雅で牧歌的、時にダークな彼ら独自の幻想世界を描いた傑作でした。今作ではそこから一歩抜け出し、単純にロックバンドとしての骨組みを強化した印象を受けます。再生した瞬間から堰を切って溢れるスピード感の 「Fragile」 や、先行シングル 「bright or blind」 などは直線的でキレの良い真っ当な V-ROCK だったり、太いベースを軸にファットなグルーヴを撓らせる 「Sweet blood pool」 、ダンサブルなリズムで荒々しく迫る 「グランギニョル」 などライブ向けのロック曲が目立ちます。その一方でメロウで優しく、雄大な広がりを見せる 「そこにあるもの」 「amaryllis」 では前作から地続きの魅力を見せていたり。
全体的にロック的なスケールアップを図ったことから、よりオーバーグラウンドな世界を目指そうという意志を感じたのですが、それはまるで L’Arc〜en〜Ciel や La’cryma Christi が作品を重ねるごとに幻想性を脱ぎ捨ててポップ/ロック化していった、その変遷とイメージが重なります。そういえば 「グランギニョル」 のイントロなんかは 「READY STEADY GO」 みたい、ってこれは蛇足ですね。決してバンド本来の持ち味が失われたわけではないけど、前作のイメージを未だ引き摺ってる自分としては、少し面喰らった部分もあったりします。
過渡期的な作品になるのかな、と個人的には思っています。物語的な世界観と、サウンドのビルドアップを両立するバランスを模索してる、その途中段階のような感があり。前作の充実っぷりと比べるとどうしても見劣りしてしまいますが、いやしかし純粋に良い曲は多いし、 「bright or blind」 なんかは性急なスピードの中で緻密に絡むアンサンブルが非常に格好良く、ベタな疾走感の中にも彼ららしさがしっかり出てる。ここからどういった発展を見せるのか、まだまだ彼らに対する興味は尽きません。
1年7ヶ月ぶりとなる2作目。
Rating: 6.6/10