0.8秒と衝撃。 「【電子音楽の守護神】」

【電子音楽の守護神】 ※初回盤

【電子音楽の守護神】 ※初回盤


果たして守護神は降りたのか?


アッパーな打ち込みサウンドに噛み付くようにして融合するバンドサウンド。いわばインダストリアルとオルタナ/パンク、双方のアグレッションを交えて多角的に音が迫ってきます。男女ツインヴォーカルは互いの特性を生かしたコンビネーションで、こちらもやはり多角的。さらにはキッチュで斜に構えたユーモア満載で、インダストリアル特有の重苦しさを払拭したポップさがありつつ、真摯な思いを乗せた叫びもそこには存在するという。


しかし何というかこう、もどかしい。これは前作を聴いた時にも感じましたが、変に奇を衒ったアイディアがあまり有効に機能してないように思います。アクセルとブレーキの使い分けが先の読めないスリルではなく、突っ込みたいのに突っ込めない歯痒さに陥ってしまってる。以前よりはストレートな曲調が揃っているのですが、結局のところ一番の魅力に感じるのはそのストレートな部分 (メロディにしろ攻撃性にしろ) だったりするので、背中のむず痒くなる変化球は蛇足だろうと。


ラテン風の躍動感と共に最もメロディが立った 「ストロベリーシンセサイザー」 と、キラキラした明るさが異色なロックンロールナンバー 「Freedom FOREVER.」 は出色の出来。しかしこれらはアルバムの中では異色作で、おそらく俺は彼らがもっとポップネスに意識的になるまで受け入れることはできないのかなあと。彼らのやりたいこととこちらの欲求の乖離をまたしても感じてしまった作品でした。


1年9ヶ月ぶりとなるフルレンス3作目。


Rating: 5.2/10