NIGHTMARE 「SCUMS」

SCUMS  (ALBUM+DVD)(type A)

SCUMS (ALBUM+DVD)(type A)


また身も蓋もないタイトルですなー。 Napalm Death じゃないんだから。


個人的に彼らのアルバムを聴くのは 「Killer Show」 以来か。その時は様々な曲調を上手く演ってはいるけど強烈な個性があるわけでもない、どうも器用貧乏な印象を受けました。それから早くも5年。テクニックはさらに向上してヘヴィな厚みを増し、性急な疾走感の中に手数を詰め込んでバタバタと疾走。このスピード感は何処かやけっぱちな熱さがあってガツンと響いてきます。キッチュな打ち込みも随所に交えていますがキラキラに傾くことはあまりなく、ダークな憂いを帯びたメロディ/ヴォーカルによって全体のカラーは統制されています。


「ASSaulter」 「DISSEMBLE」 「終わる世界の始まりは奇なり」 など、前半はほとんどがアッパーな攻撃曲で占められています。拍子を変えたり4つ打ちに入ったりと小技を効かせながら、ひたすら猪突猛進な勢いで突っ走るのは現在のバンドにとって一番の武器がソレであると、魅力を誇示しているようで有無を言わせないくらいの自信が感じられます。そして後半では 「I'm not」 「Deux ex machina」 などメロウな印象の方が強くなる。澱んだ曇り空から一筋の光が差すようにポップに移り変わっていく、この味も彼らならではでしょう。アンサンブルはタフさを増しながら洗練されてきてるのに、メロディには変わらず垢抜けないクサ味が残ってるのが良い。


よくよく考えてみると、きっと10年前からナイトメアはこういう音楽を目指していたのだと思います。10年間の経験を積んでスキルもセンスもレベルアップし、説得力が増してきたということでしょう。またキャリアを積んでもなお落ち着かず若手っぽいフレッシュな感覚があるのも面白いし。継続は力なりだなーと。


1年2ヶ月ぶりとなる8作目。


Rating: 7.7/10