Voivod 「Target Earth」

Target Earth

Target Earth


蓋をしてても鼻を突く異臭。


冒頭に据えられた表題曲 「Target Earth」 を再生し、グリグリ頭にドリルを捻じ込まれるようなベース音が響いた時点で、このアルバムはすでに劇物認定です。メタルに関しては相変わらず不勉強で申し訳ないですが、80年代以前のアンダーグラウンドの瘴気をそのまま持ち込んだようなヤバさが漂ってると思います。とても2013年の今にリリースされた音源とは思えない黴臭さ。錆び付いた鈍器で一発頭を持っていかれるような、洗練など何処吹く風の毒々しいアグレッションが満載です。


スラッシュメタルの直線的な激しさとプログレッシブな曲展開、そこには金属質/無機質なばかりでなく、非常に肉々しいロックンロールの旨味も注入されています。突っ走りながらうねりまくるグルーヴとザクザク爪痕を残すギター、そして爬虫類的なネチっこさが強烈なヴォーカル。作曲的/技術的に高度でありながらもそれを高度と感じさせないのは、やはりその音が本能的に近寄ってはいけないと感じさせるレベルで密度濃く澱んでしまってるからでしょう。身体を突き上げる快楽と身体を麻痺させる毒素の混在。所々にサバトだかB級SFだかを模した効果音が混じるのも、その湿っぽいダークネスを助長しています。


大体ジャケットだってこんなのが許されて良いのかって感じだしな。これを手に取ってレジに行けるかどうかでその人の人間性が試されてるような気すらします。クール!!


カナダ出身の4人組による、4年ぶり13作目。


Rating: 7.9/10