或る感覚 「カウンター」

カウンター

カウンター


NUMBER GIRL の遺伝子は様々な方面へ枝分かれし、凛として時雨Base Ball BearMASS OF THE FERMENTING DREGS 、そしてこのバンドへ。


ビッグマウス炸裂しまくりのインタビューの中で、彼らは自らがナンバーガール・チルドレンであることを自認していました。そのルーツに対する潔さは良いと思います。厚みよりもジャキジャキの鋭さを特化させることで生み出されるアグレッション。ノスタルジックな哀愁とシリアスな焦燥感が入り混じった日本人的ロックサウンドは、確かにナンバガの影響が色濃く伺えるもの。しかしそれ以上に、彼らは憂いのあるメロディを前面に立てることて、荒々しい演奏を軽妙なポップ感で纏め上げており、そのセンスは20歳そこらの若手とは思えないくらいのクオリティを見せています。


「鬼」 「ヒーロー」 「カウンター」 などで頻発されるディスコビートは最近の若手によくある傾向ですが、テクノ的にカッチリしすぎず刺々しいギターサウンドと共に忙しない躍動感を生み出しています。 「現代のエーデルワイス」 「masa」 といったミドル曲では郷愁に満ちたメロディの良さが一層光る。たまに斜に構えた蛇足のキメが入るのはご愛嬌。ともかく、最近はテクニカルで手先器用なぶん完成され過ぎた故の味気なさが残るバンドが増える中、彼らはやはりテクニカルではありますが、それ以上に純粋なメロディの良さと、若手らしく垢抜けない初期衝動を打ち出す面で頭一つ抜けていると思います。


2010年結成の4人組による初フルレンス。


Rating: 8.2/10