清春 「UNDER THE SUN」
- アーティスト: 清春
- 出版社/メーカー: avex trax
- 発売日: 2012/11/07
- メディア: CD
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相も変わらず凝りもせず追い続けているわけですが。
40半ばに差し掛かった清春にとって、立て続けに復活させた黒夢やサッズよりも、ソロ名義では本来のスタイル、魅力を肩肘張らない自然体で見せているように思います。デジ要素を噛ませたバンドサウンドはメロディを前面に打ち出す役割。生き急ぐ疾走感やヘヴィネスではなく、3拍子のたおやかなリズム、緩やかな躍動感が主体となり、ビロードのカーテンが靡くような妖艶さで、その歌を聴かせてくれる。今回は雅 -MIYAVI- や柏倉隆史、秋山隆彦といった多彩なゲストが参加していますが、各々は主張しながらも押しつけがましくなく一体感を見せて、清春のヴォーカルを立てる屋台骨となっています。
ダンスグルーヴが刹那的な熱と悲しみを狂おしく振り撒く 「JUDIE」 、強い雨のようにザラついた音が寂寥を降らせる 「イエスタデイ」 、ピアノ/シンセの音色がベタなドラマチシズムを醸す 「涙が流れる」 、深いため息のような憂いがますますディープに空気を浸す 「ALICE」 「MESSIAH」 など11曲。 「MOON」 に始まり 「SUN」 に終わるコンセプチュアルな構成を執っていますが、音的には確信犯とも言えるくらいに、おそらく彼の趣味嗜好の根幹に潜むであろう 「歌謡」 の要素を、すでに完成された個性でもってロック的に鳴らす、ということに終始しています。彼にとっての最も心地良いポップネスを持った歌謡ロック。
目新しい側面はほとんど見つけられないのですが、現在の彼は単純に良い曲を書くという所に主眼を置き、自らのカラーを薄めず煮詰めすぎず、というバランスを意識しているのかもしれません。若干寂しい思いもしますが、今の彼がこれで良いのならきっと良いのでしょう。きっと。
ソロ名義では3年ぶりとなる7作目。
Rating: 6.9/10