Versailles 「Versailles」
- アーティスト: Versailles
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2012/09/26
- メディア: CD
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Versailles が Versailles であるために、それは美が美であるために、絶えず変わらず自らを磨き続けること… (うっとり) 。
周知の通り今年一杯で活動を休止する彼ら。こうなったら Versailles としての活動を全うするために最後まで彼ららしさを貫いてほしい、とこちらが嘆願するまでもなく彼らは彼らのままでした。今作も中世ヨーロピアンファンタジーの美意識に魅せられたメロディック・スピード・メタルの応酬。一級建築士の腕前をこれでもかと見せつける速弾き×速叩きのオンパレードでぶっ飛ばします。そこにはもう、一縷の迷いも見当たらないくらい。
しかしながら、新機軸と言える曲調も織り交ぜてるあたり、あくまで彼らが現在進行形のポジティブな姿勢であることをしっかり示しています。ファットに波打つグルーヴがニューメタルの影響を感じさせる 「Edge of the World」 、アニメタイアップ上等な勢いで異様に抜けの良いメタルポップ 「Illusion」 、ジャポネスクなイメージを導入して重厚なムードに仕上げた 「妖 〜Ayakashi〜」 、さらに10分を超える陶酔度臨界点のバラード 「Created Beauty」 はダメ押し。曲毎に多彩なアプローチを仕掛けて楽しませてくれる、この振り幅は彼らの表現力がより強靭になった証。これくらいやっても世界観の揺るぎがほとんどないのだものな。
もちろん 「Rose」 「Brave」 「Truth」 といった王道ナンバーも疎かになることなく、マンネリズムなど何処吹く風、脂の乗った勢いでガッツリ聴かせてくれます。最近はメタル由来のヘヴィネスを導入するバンドは飽和状態になるくらい増加して、V系シーン全体のテクニックもアベレージがメキメキと底上げされていますけども、その中で彼らが頭一つ抜けて個性的なのは、やはりその世界観の徹底による良い意味での 「野暮ったさ」 があったからだと思います。豪華絢爛でコッテコテ、シャープさよりも味を重視、という点で実は流行と逆の方向を行ってたのかも。また何らかの形で戻ってきてくれることを願います。
1年3ヶ月ぶりとなる4作目。
Rating: 8.0/10