ZIGZO 「THE BATTLE OF LOVE」

THE BATTLE OF LOVE

THE BATTLE OF LOVE


ロックンロール!ロックンロール!ロックンロール!


生き急ぐ切迫感に駆り立てられながら、今を生きる楽しさと切なさ、その重要さをしゃがれた声で歌う。男臭くワイルドでセクシーな、それでいて少年のような純粋さを隠し持ったロックバンド。長い年月のあとに再び集まった彼らは、メンバーそれぞれ紆余曲折を経てきたかと思いますが、それでもなお、今回再結成してその王道たる姿を見せてくれる。それはとても正義的であり、非常に頼りがいのある凛然とした姿です。


太く荒々しい音に、どっしりしたグルーヴ。さすが演奏に関しては文句なし、オーセンティックなロックンロールの旨味がどの曲にも凝縮されています。オルタナ・パンキッシュな疾走感の中に一抹の切なさが滲む 「Super Charger Star」 「炎は青く揺れる」 、冗談のようなイントロからブルージーなダンスビートに突入する 「ぶらつく天使」 、力強いハピネスを発散させる 「I'm in Love」 、遠く澄んだ空まで音を轟かせるロッカバラード 「トロイメライ」 など12曲。何かしらに対してのカウンターではない、三十路過ぎの男たちが等身大として鳴らすロックサウンド、それは 「ロックとはこう在るべきだ」 という美学、ロマンチシズムに貫かれていて、否が応にもグッときてしまう。


どの曲もメロディがキャッチーで、明確なフックが仕掛けられてるゆえに、高野哲という稀代のロックヴォーカリストにとっては格好の舞台。例えば吉井和哉とか浅井健一とか清春でも良いですけど、ロックスターらしい猥雑でキナ臭い魅力をフェロモンのように撒き散らすヴォーカリストっているじゃないですか。間違いなく彼もそのひとり。触れたら火傷しそうなカリスマ性を持ち、贅肉を削いで喉を擦り切らせるようにして歌うその姿。自分もそれなりに色々なスタイルのロックを聴きますが、最終的に帰る場所はここに在るような気すらします。彼らが戻ってきてくれて良かった。


12年ぶりとなる3作目。


Rating: 8.8/10