チャットモンチー 「変身」

変身(初回生産限定盤)(DVD付)

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個人的に最も熱の上がっていたメジャーデビュー当時と同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に、現在のチャットモンチーには注目しています。


周知の通り昨年ドラマーが脱退し、その後は後任を迎えることなく大胆なパートチェンジを図り、サンプラーを駆使してギターを重ねる、シンセを弾きながらドラムを叩くなど 「ふたりだけで何処まで出来るか」 の可能性にチャレンジするという、一般的に見ても非常にユニークなバンド編成となった彼女ら。現在の編成でのライブはすでに何度か見ているのですが、その様子は逆境を逆手にとって好きなことやってしまおうという自由奔放な無邪気さ、それと同時に現在のスタイルでやっていくんだという真摯さのようなものも同時にあり、それがなんだか奇跡のように感じられたのです。


多くのシングルを挟み、満を持してという感じでようやく出た今作。ライブで培ってきた経験を活かした、現時点での集大成といった内容です。現在の彼女らの強い決意を高らかに表明した表題曲 「変身」 で始まり、シリアスさを纏いながら光のある先へ向かおうとする疾走曲 「ハテナ」 「きらきらひかれ」 、シンセの音色が何処となくシュールで内省的なムードを醸し出す 「Yes or No or Love」 、反対にオーケストレーションを導入して豪華に仕立てた 「歩くオブジェ」 など12曲。ベースレスによるアンサンブルの薄さは無いと言えば嘘になるけども、その辺は巧みなアイディアやキャッチーなメロディでカヴァーという感じで、メンバーは減ったのに自由度はむしろ高まった現在形ならではの楽曲群です。


そういったアイディアの豊富さがありつつも、個人的に惹かれたのは全体にある何処か切迫した感覚、緊張感のようなものがあるからだと思います。新編成で再スタートを切るというところでの力みが入ってて、それが彼女たちなりの等身大の表現というリアリティに繋がってる。それはちょうどデビュー当時を思い起こさせるものであり、これからまた成長を遂げていくのでしょう。


1年半ぶりとなるフルレンス5作目。


Rating: 8.4/10