Converge 「All We Love We Leave Behind」

All We Love We Leave Behind

All We Love We Leave Behind


愛する全てに別れを告げるための音。


メタル/パンク/ハードコアといった種々のヘヴィサウンドを凝縮収斂し、激情に任せて吐き出す鉄板のコンバージサウンドであります。濁流のように雪崩れ込むギターと、マシンガンの飛礫のごとく途切れることなく身体を撃つリズム。その苛烈な激情からうっすら滲み出る哀愁、ドラマチックな物悲しさは男ならグッとくるはず。2001年の 「Jane Doe」 以降彼らの手法はほとんど確立されておりますが、微妙な差異としてはメタル色の強かった前作よりも、またハードコアの引き締まったサウンドに比重が傾いてる、といったところでしょうか。不要な贅肉を極限まで殺ぎ落とし、猪突猛進の勢いで全てを薙ぎ払う圧倒的アグレッション。


オープナー 「Aimless Arrow」 は勢いの中にもプログレッシブな構築美を感じさせる楽曲ですが、それ以降はやったもん勝ちでぶっ飛ばすカオティックハードコアの応酬。全ての音が破片と化して身体に突き刺さってくるようで、一瞬の破壊力がすでに全体を示しています。 「Tender Abuse」 「Sparrow's Fall」 など、もはや途中から呆然としてしまうくらいの手数の多さ。また 「Empty on the Inside」 のノイズ塗れの爆音の引き摺りかたも壮絶なものがある。そして表題曲 「All We Love We Leave Behind」 。タイトル通りひとつの決意と底の知れない悲しみ、ひり付くような痛みを叫ぶ。祈りにも似た聖性すら感じさせる今作のハイライトです。


ただ今回いつもに増して金太郎飴化が激しいというか、ハードコア由来の一切色味を感じさせないストイックな轟音がメインのため、曲毎の違いを見い出しにくいです。何処を走ってるのか分からなくなるので途中で置いてけぼりを食らいそうになる。ライブで暴れたりするぶんには何の問題もないでしょうが、正直前作がインパクトや構成など色々な面で凄すぎたから、それに比べると若干見劣りする感はあります。自分がハードコアよりメタル好きな体質だからというのもありますけどね。


3年ぶりとなる8作目。


Rating: 7.3/10