Muse 「The 2nd Law」

The 2nd Law

The 2nd Law


ミューズ帝国の逆襲。


物々しいムードからどう聴いても演歌にしか聴こえないギターソロ炸裂の 「Supremacy」 、シャープなカッティングが冴える性的ファンクナンバー 「Panic Station」 、新世代の Queen を本気で襲名せんとするロックオペラ 「Survival」 、 「Take a Bow」 を彷彿とさせる銀河系4つ打ち 「Follow Me」 、幻惑的な美しさを展開する 「Save Me」 など13曲。作品を重ねるごとに誇大妄想癖がひどくなっていく彼らですが、今作もその予想より2割増しで妄想全開、外連味特盛のこれぞミューズといった内容に仕上がってます。


ダンスビートやらオーケストレーションやらとことん盛り込み、スリーピースにおける可能性の極限、と言うかもうスリーピースとか関係なく、スタジアムクラスのアーティストとして演れることは全方位的にとことん演る、という感じ。一方でバンドサウンドのダイナミズムは希薄化し、良くも悪くもポップバンドとしての道を邁進しています。音が軽くなってるのに曲はどんどん濃ゆくなってる、ってのもある意味凄いのかもしれませんが。地に足がついてないと言うのであれば、彼らの王国は浮かび上がってもはや宇宙まで到達してるのでしょう。


ラストに据えられた表題曲 「The 2nd Law」 2部作。もはやハリウッド SF 大作映画の世界そのままなインストですが、もしコレをライブで3人だけで再現できるのだとすれば俺はもう舌を巻くことしかできません。個人的にはやはりギターヒーローっぷりを存分に見せつける 「Plug in Baby」 や 「Stockholm Syndrome」 のような楽曲が恋しくなるのですが、もはや今の彼らが持つ世界観はロックバンドの枠などに囚われていては表現しきれないのでしょう。やりたい放題の音楽ほど楽しいものはないですしね。


3年ぶりとなる6作目。


Rating: 7.1/10