RURUTIA 「NODE from R」

「NODE from R」

「NODE from R」


この人ジャケットを見るたびに顔が変わってる気がするんですけど気のせい?


窒息して消えてしまいそうに儚く、しかし時には凛とした輝きを発する歌声。透明感や浮遊感、幻想性を純度高く映し出すことに注力した、つまりは正義的な J-POP 。あえて例えるなら新居昭乃あたりが近いかと。こういうウィスパー寄りのか細い声はともすれば自己陶酔的だったり、スノッブ的な印象を与えてしまうこともままありますが、この人の場合は、なんかこう、素でこんな感じなのかなって。落ち着いたポジションで自分に酔うようなことはせず、様々な表現に手を伸ばそうとする姿勢、真っ直ぐな魅力を感じます。


氷のような冷たさ、清らかさといったイメージが全編に通底していた前作 「Seirios」 と比較すると、今作は様々なカラーの楽曲に手を広げ、ヴァラエティに富んだ作風になってると思います。荘厳でダイナミックなムードが圧し掛かる 「The Name Of Anger」 でいきなり驚かされ、空を舞うような4つ打ちの軽やかなスピード感が心地良い 「スペクトル」 、ドラマの主題歌に起用されても全く違和感ない超正統派ポップス 「深藍」 、ギター1本の伴奏でも感情の襞が震える 「I Keep On Lovin' you」 等々、アニソン好きにも響くところはもちろん多い15曲。


サウンド面はさらに洗練されてクセが抜け落ち、ますます普遍的なポップスに向かってるのは良くも悪くも。前作で言えば表題曲 「Seirios」 のような作品の核となるキラーチューンは今作では残念ながら見つけられませんが、彼女のヴォーカルは相変わらず耳を惹きつける魅力が宿っているし、基本的にベタ好きの人間なので決して無下にはできないです。この年齢不詳な歌声、ベタでありつつも聖性を保ち続ける楽曲のムード、あとマイペースな活動スタイルとか顔が覚えられないとか (笑) そのせいもあって、未だに俺の中では素性の知れない幻影のような存在です。


3年7ヶ月ぶりとなる7作目。


Rating: 6.9/10