Passion Pit 「Gossamer」

GOSSAMER

GOSSAMER


今年の夏はゴッサマー!


毎年メンツの良さと環境の劣悪さを天秤にかけて参加を悩ませてくれるサマソニ、このバンドの出演で余計悩むことになりました。いや正直前作が出た時はろくすっぽまともに聴かないままハイプだろうなーと思ってスルーしてたのですが、今回ちゃんと聴いてみたらすげえ良いでやんの。びっくりした。


いきなりアンセムめいた貫禄すら感じさせるオープナー 「Take A Walk」 、からのコラージュ的手法で超絶キャッチーなインパクトを持つ 「I'll Be Alright」 、このテンション高い2発で完全に首根っこもっていかれましたがまだまだ続く。 R&B のしなやかで洒脱なムードが心地良い 「Constant Conversation」 、 M83 などのニューゲイザー的要素も感じる 「Mirrored Sea」 、一層凛とした力強さを持って疾走する 「Hideaway」 など、全曲キラーチューンといっても過言ではない充実の楽曲群。この夏を黄昏とランデブーで彩る超キラキラインディ・エレクトロポップが満開です。思わず目の前も極彩色に染まり上がる。


例えば 「Republic」 期の New Order をビルドアップしたような80年代テクノポップ風のコミカルでキッチュな色がありつつ、ダンスパーティな賑やかさと熱量が瑞々しく発散され、メロディはスウィートで底抜けに明るく、しかし刹那的な感傷の涙も一筋流れる。最新型のエッジィな刺激がありながらも、ノスタルジックで親しみやすい質感を持ち合わせたポップネス。それはもう、なんか、泣けるくらいに夏じゃないですか。アッパー曲とチル曲の配分も絶妙で、まるでひとつの映画を観てるようなドラマチックな起伏の豊かさ。憎いんだけどこりゃ否が応にもハマってしまう。


音楽性は違うんだけど、俺の中では Franz Ferdinand とかと同じ立ち位置かな、とふと思いました。スカしまくってていけすかない、けどここまで見事に格好ついてたら文句も言えない、という感じ。なんだかんだで明確な意志を持ってメインストリーム目指したポップスは強いのだ。


Rating: 9.0/10