サンボマスター 「ロックンロール イズ ノット デッド」


やっぱり、ポリシー持ってるバンドはなんだかんだで強い。


いつも通りのサンボマスターです。生きる喜びと煩悶と希望と反抗を暑苦しく語りかけるように歌うヴォーカル、ゲスト多数ながら根本は余計な雑味を加えないストレートなスリーピースのアンサンブル、パンクもソウルもファンクも歌謡曲もロックンロールの名の下に飲み込んだ味のある勢い。しかし今回収録された楽曲は単にマンネリの一言では片づけられない。間違いなくいつも通りのサンボマスターでありながら、とてもフレッシュであり、脂が乗っています。俺らにはこれしかできないからそれだけを最大限にやる、と言わんばかりの割り切り、矜持のような強い精神が現れているように思います。


今作のテーマでありサンボマスター自身のテーマでもある表題曲 「ロックンロール イズ ノット デッド」 を皮切りに、しっとりメロウに慕情を歌い上げる 「あなたのことしか考えられない」 、激しさの中に憂いを帯びたコード進行にグッときてしまう 「ビューティフル」 、ファットなグルーヴとソウルフルな歌唱で懐の深さをアピールする 「静かに光りつづけるもの」 、フォーキーな滲み出る明るさにホロリとなる 「青春のかけら」 など。自分たちの武器、持ち味をとことん追求して、単純に 「良い曲を書く」 というシンプルかつ難解な目的にまっすぐ向かった12曲+α。おそらくサンボを構成する要素はこれらの楽曲の中に惜しみなく詰め込まれてるはずだし、全体が粒揃いで曲順のバランスも良し。


重箱の隅をつつくとしたら、初回盤のみ収録の 「I love you & I need you ふくしま」 はちと蛇足だったかも。本編の12曲が非常に良く纏まってるので、その中にポンと入っちゃって浮いてる気がしないでもない。まーでもこういう曲をいつものテンションで高らかに歌えるのもサンボの強みですよね。やってること自体にはブレはない。今作、ひょっとしたらサンボの中で一番好きな作品かもしれませんね。代表作として推したいです。


2年3ヶ月ぶりとなる6作目。


Rating: 8.4/10