LOSTAGE 「ECHOES」

ECHOES

ECHOES


ああ確かに LOSTAGE だ、しかし何だか、軽くなったような。


ハードロックと US ポストハードコアのエッセンスを取り入れた、刺々しくキナ臭いバンドサウンドの骨格。3人編成になってからはその音作りを根本から見直し、よりシンプルに、より贅肉を削いだアンサンブルへと変化していましたが、ここでは音の隙間を活かした緊張感と言うよりも、風通しの良さによる軽さを、良くも悪くも感じます。リード曲 「BLUE」 は清涼とも言える疾走感と滲み出る切なさが印象的な、彼らにしてはとてもポップな曲。それ以外には切り裂くようなサックスの音色がキナ臭さを助長する 「真夜中を」 や、ダイナミックにグルーヴする 「DOWN」 のような攻撃曲もありますが、牧歌的な 「NAGISA」 や 「僕の忘れた言葉達」 などメロディアスな楽曲の方に比重が偏った内容になってる気がして、多分それは音作りに要因があると思うのです。全体的に柔らかくて、軽い。


曲調的にも激しさとメロウ、両タイプの曲が約半々収録されており、楽器の鳴りとしてはそのどちらにも対応できる作り方。しかしその中庸を行くスタイルが成功してるのかというと、少々疑問。アレンジのシンプルさも相まって、どっちつかずで地味な印象に陥ってる気がします。相変わらずいぶし銀の渋い持ち味を発揮してはいますが、このラウド感とポップ感の両立、以前の 「PLAY WITH ISOLATION」 や 「GO」 なんかではもっと両極に大きく針を振れさせながら釣り合いを上手く持たせてたと思うのですけども、今回その針の揺れ幅が小さい。こじんまりとしてる。


決して悪くはないですが、彼らならもっと気合いの入ったものを作れるはず、という食い足りなさが先に残ってしまいました。スリーピースのバランスはまだまだこれから練り上げていく、のだと思いますが。


フルレンスとしては約2年ぶりとなる5作目。


Rating: 6.4/10