V.A. 「PARADE II RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK」

PARADE II−RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK

PARADE II−RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK


わざわざ比較するのもアレかもですが、こないだのラルクトリビュートは再度聴いてもやっぱりナシでした。トリビュートアルバムは 「対象がどういうバンドであるか」 を参加する側がちゃんと把握してるのが大前提だし、その前提がないとわざわざカヴァーする意味がない、どれだけ技巧的に達者でも鳴ってる音以上に深みが生まれないと思う。その点でこのトリビュートは非常にアリ。様々な形があるけど、表題通り B-T へのリスペクトが感じられます。


思い切り硬質なメタルアレンジに仕上げた Acid Black Cherry 「ROMANESQUE」 、フレッシュな勢いを注入した BREAKERZ 「JUST ONE MORE KISS」 、オリジナルに忠実でありつつも小技を効かせて自分の色を出した cali≠gari 「MISTY ZONE」 、もはやカヴァーにおけるスベリ知らずの POLYSICS 「Sid Vicious ON THE BEACH」 、身を擦り切らす性急な荒々しさが実に彼ららしい MERRY 「悪の華」 、壮大さを増しつつ間奏で遊ぶムック 「JUPITER」 、メタルコア・ロックンロールと化した Pay money To my Pain 「love letter」 、菊池先生のやかましいドラムを軸にグイグイ展開していく D’ERLANGER 「ICONOCLASM」 、スカムでキュートでやったもん勝ちな N’夙川BOYS 「EMPTY GIRL」 、バッキバキのエレクトロ・ロッキンビートで身体を突き上げる THE LOWBROWS 「エリーゼのために」 、意外にも美しくメロディアスな作風の acid android 「SEXUAL×××××!」 、そして激しさと儚さがダイナミックに交錯する AA= 「M・A・D」 。


気に入ったものを挙げていこうと思ったらほぼ全曲、というか氣志團以外になってしまったな…氣志團好きな人すんません。いやでもこの打率の高さは素直に凄いと思う。特に cali≠gari や MERRY 、D’ERLANGER なんかがそうだと思いますが、原曲を活かしつつ自分の色をバランス良く混ぜ込むというのは、一見地味なようでも確固たる土台のあるバンドじゃないと出来ないことじゃないかなと。衝撃度で言えばラストの AA= が一番ですが。デジタルハードコアの肉体的快楽をガツンと出しながらも、フレーズ一節挟むだけで耽美的な狂気が醸し出されてるという。


何というか、相思相愛という感じですよね。参加する側のリスペクトとバンド側の選別とが綺麗に合致した、トリビュートの理想の形じゃないかなと思います。


6年半ぶりとなるトリビュートアルバム2作目。


Rating: 8.8/10