V.A. 「L’Arc〜en〜Ciel Tribute」

L'Arc~en~Ciel TRIBUTE

L'Arc~en~Ciel TRIBUTE


笑う準備は最初からできていた。


最近 BUCK-TICKLUNA SEA黒夢などヴィジュアル系のトリビュート作が色々と出てきている中で、お待ちかねのラルクもトリビュートリリース…ところが事前にメンツを見て大いにずっこける。 Vince Neil や Michael Monroe なんかはメンバー (多分 ken か hyde) の趣味だろうけど、それ以外は… Boyz II Men とか TLC とか、そりゃかつて名前を世界中に轟かせたビッグアーティストではありますが、なんでそんなセルアウトというかショウビズというか、とりあえずコレジャナイとしか言いようのない絶妙な外しっぷり。 Daniel Powter なんて誰が挙げたか知らんがオワコンも良い所だろうに…。


んで内容。単純に聴けばサウンドプロダクションはさすが一流だし、良く出来てるとは思います。ただ基本的にどのアーティストも海外チャートポップらしくツルッツルにソフィスティケイトされたり、あるいはカラッと爽やか快活にビルドアップされた、いかにも外タレらしい仕上がり。歌詞は全て英詞に変えられてるのもあり、同じメロディでもここまで印象変わるもんかというくらいラルクの面影ゼロ。ラルクって時期ごとに作風が変わっても、根っこを支える魅力はやはり hyde の耽美でグラマラスなヴォーカルであったり、ドメスティックな湿り気の感覚だったのだなと改めて確認しました。あんたがた日本人の侘び寂びとか知らんだろ?


そこいくとむしろボーナストラックとして追いやられた日本勢の楽曲にひどく安心感を覚えます。相変わらずの強さを発揮する POLYSICSSEVENTH HEAVEN」 、原曲に忠実でありつつクセの抜けたシド 「Shout at the Devil」 、ダンスロックとして現在の流行の形に再構築された Hemenway 「Caress of Venus」 、超高速エモコアパンクでぶっとばす TOTALFAT 「Driver's High」 。やぱりそれぞれ自分のバンド色に思い切り作り変えられてはいるものの、こう、微妙な感覚ではあるんですが、 「ラルクが何者であるか」 をちゃんと理解した上でのカヴァーな気がします。メロディ/歌に対する意識、ニュアンスの違いというか。個人的にはこっちの方がよっぽど面白い。今でもスタジアム級のキャパでライブ出来るビッグバンドだからこそのメンツなんでしょうけど、金が有り余ってるからってそんな、ねえ。


4人組ロックバンドによる初のトリビュート盤。


Rating: 3.5/10