女王蜂 「蛇姫様」

蛇姫様

蛇姫様


やったもん勝ちの人生だから。


常に過去を振り返らず、痛みを伴おうが、とにかく脱皮と進化を繰り返す彼女達。ライブを見るたびに進化していくヴィジュアルとパフォーマンス、そして新しく出来た楽曲も今まで以上に過剰に音が重ねられ、とことんゴージャスでダイナミックなオルタナ歌謡ポップとなりました。


麝香にも似たエキゾチックで濃厚な香りを撒き散らす 「鏡」 、挑発的/扇情的アグレッションが牙を剥く 「ストロベリヰ」 「レザー」 、靡く妖しさが重厚なムードを醸し出す 「歌姫」 「Ψ」 、堕胎をテーマにした優しい曲調が背筋を凍らす 「無題」 など8曲。テンポの加速/減速や長尺に渡るグルーヴィなセッションなど、すでにライブを意識したであろうアレンジが多数盛り込まれていますが、彼女達は痛みに耐えるのでこれらの楽曲もこれからどんどん形を変えていくでしょう。目一杯の爆音と、目一杯のおめかしで。


今やれることを最大限にやろうとするその姿勢。自ら羽を燃やすように生き急いで、多分このバンド長くは続かなさそうな気もします。しかし彼女達はそれでも良い、今しか出来ない表現があると言わんばかりに全力。最初は大味すぎる気もしたし、 「無題」 のような曲は (以前の 「告げ口」 もそうでしたが) アンタッチャブルなテーマとしては割と頻繁にある類なので新鮮味はないですが、感情を吐き出すパワーはやはり記録更新値。何度か聴いて全貌が掴めるとクセになってしまう。


そして、先日ギターのギギちゃんが降板すると発表されまして。この4人でのライブは何度も見てるだけに寂しさは残ります。この4人の呼吸があってこその女王蜂だと思っていたので。しかし片腕が捥げた状態でも彼女達はそれを美として昇華していくのかもしれません。先行きは見えませんが、まだまだ面白くなりそうな予感。


8ヶ月ぶりとなる3作目。


Rating: 8.3/10