【Champagne】 「Schwarzenegger」

Schwarzenegger *初回限定盤DVD付

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最近浦島太郎化が進行しているので、このバンドいつの間にこんなに人気出たんだ?と驚くことがしばしばあり、彼らもそのひとつ。


しかし曲を聴けば確かに納得できる。若手にも拘らず実に達者であります。高度なテクニカルフレーズをこれ見よがしではなくサラリと聴かせ、変拍子やブレイクもキッチリとキメてくるアンサンブルの巧みさ。各々が粒立ちながらひとつに纏まり、音響的な飛び道具も混ぜて立体的に聴かせる録音の上質さ。さらにヴォーカルが帰国子女ということで流暢な英語詞と日本語詞を違和感なくスイッチして流れに加速度をつける (この辺は細美武士を彷彿とさせます) 。海外インディロックからの影響、それらへの返答とも言えるアイディア/センスを感じさせつつも、ドメスティックなベタさを織り込んで様々なロックファン層にアピールできそうな懐の深さがある。これらを統合したら、最近のロックの流行に合致したスタイルとしては、おそらくこれ以上の形はないです。


ただまー良くも悪くも、と言うか俺にとってはあまり良くない意味で優等生チックなのですよね。どの科目もヤマ押さえて手堅く高い点数出すけど、何かひとつ秀でた特徴がこれと言って見出せない。スキルもセンスもあるのにイマイチ入り込めなくて、まるで音と自分の耳の間に分厚くて見えない壁があるかのよう。音の群れが意識の上を上滑りして空虚の中に消えていく。個人の好みだと言われればそれまでですが、ふとした遊び心すらもその端正さに回収されてしまう過剰な纏まりの良さが、どうも物足りなく感じてしまうのです。所謂ロッキングオン系における若手ホープがこういった類だとすれば、やはり俺は門外漢だと自認せざるを得ないのかと。


2001年結成の4人組による、1年2ヶ月ぶり3作目。


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