摩天楼オペラ 「JUSTICE」

Justice

Justice


先日俺は Alice Nine を 「La’cryma Christi の血筋」 と形容しました。では摩天楼オペラは…え、 B’z


えーこのバンドのヴォーカルこんな声質だったっけ?というくらい、ハイトーンに向かうと節々で稲葉浩志なのですけども。無論別にそれが悪いわけではなく、艶やかさとワイルドさを兼ね備えた J-POP トップクラスの歌唱力に比肩するというのは凄いことだし、そこにV系らしいムードのある色気も加わればこの上なく美味なもの。V系でこういった例にお目にかかったのは初なのでいささか困惑と興奮が綯交ぜになった心境であります。


あと音楽性はシンフォニックなキーボードを立てたメロディックスピードメタルが主となるのですが、同系統であろう Versailles と比較すると歌詞に異物感が。 Versailles が徹底的に中世ファンタジー世界観を創り込んでるのに対し、こちらは色欲あるいは純情、そこに大きく噛むのが常識に囚われず自分らしさを貫く (=正義) というアイデンティティサウンドの力強さとは裏腹に、何処かジュブナイル的とも言える繊細な男の弱さを垣間見せるという意味では、それこそ稲葉氏の歌詞と TAK の楽曲のミスマッチが相乗効果を生み出すという点に相似が…


自分で言っててこじつけな気がしてきたのでやめます。


しかしまあ、サウンドはヨーロピアンでクラシカルな路線なのだけど、メロディや歌詞、歌声はむしろ LA 的なカラッとした感覚に突っ込んでる気がする、そういうミスマッチ感は聴いてて何となく感じます。メタルのサブジャンルごった煮感というか、好きなもの躊躇なく取り入れてゲテモノに近いものに化するというV系ならではの現象はこのバンドにもあり。 「Mermaid」 とか急にサイバーになるし。それを狙いが絞れてないと取るか新鮮で楽しいと取るかは君次第。俺は稲葉氏がシンフォニックな曲歌ってると考えただけでニヤニヤできるよ。若手トップクラスと言える演奏力の高さなので鉄板で楽しめるのは確かです。


オリジナルフルレンスとしては2年9ヶ月ぶり、メジャーデビュー作となる2作目。


Rating: 7.4/10