BP. 「GOLDEN BP. (PLATINUM COMPLETE '93〜'97)」

GOLDEN BP. PLATINUM COMPLETE 93-97

GOLDEN BP. PLATINUM COMPLETE 93-97


リリース情報を完全に取り逃しておいてなんですが、やっと逢えたね、 BP. !


おそらく BP. として世に出した音源は取りこぼしなく収録されているはずですが、実際にオリジナルとして聴けるのは10曲。そこにあるのは90年代のキラメキの残滓、あなた達や僕達の青春の1ページを切り取ったグラフィティです。デモ音源とほとんど大差ない (実際にデモ音源もあり) ドシャメシャなローファイな録音環境の中、ノリ一発で録音されたオルタナティブ・ガールズポップ。しかしそこには渋谷系ラウンジポップの洒脱なメロディセンス、シューゲイザーに通じるノイジーな陶酔と疾走感、ノイズ/ハードコアの凶暴性、そういった様々なギターロックのエッセンスが凝縮されており、遊び心たっぷりの軽いノリなのにその実は濃厚という、ダイアモンドの原石と言うべき魅力が詰まっていたのです。


「Diving Death Drive」 など最たる例ですが、先にも述べたハードコア、シューゲイザーオルタナティブが服を着替えるようにスイッチされ、最終的に一つの線で強引に結ばれてしまう様は圧巻と言う他ありません。この好きなもの何でも突っ込んでみるチャレンジ精神は BOaT を彷彿とさせる。楽曲の纏まり、完成度という点ではシングル曲 「Giant」 が一番。後に COALTAR OF THE DEEPERS がカヴァーしておりますが、そちらのテイクよりもずっといなたくて荒削りなぶん、全体像は見え辛いけれど勢いは抜群。また 「Cereal」 では Deerhoof に通じるトイポップ感もあったりと、とにかくアイディアが軽妙、頓智が効いてる。そりゃー NARASAKI も羨むはずだ。


今でも聴ける、どころかむしろ今聴いた方が色んな発見の多い今回のリイシュー。最近またひょっこりと再結成しましたが、きっとそのライブも当時と対して変わらない、ゆるーいメンタリティで痛快なポップロックを鳴らしてくれていることでしょう。これだけマイペースに、無邪気にバンドをやっていて、それが (ごく局所的に) 伝説として取り扱われるなんて、ロックバンドとしてある種の理想のスタイルではないかな、と思わなくもない。あと ICHIMAKI さん、あなたは俺がディーパーズを知った頃には既に抜けていて、その後単発的に参加したライブにも行けずじまいです。まるで手を伸ばしても届かない幻想のような私的バンドマン・アイドル。多分生で見ることがあってもハッキリとは見えないと思います。涙ぐんで。


97年に解散した4人組の、オリジナル/デモ音源を詰め合わせたコンプリート再発盤。


Rating: 8.6/10