L’Arc〜en〜Ciel 「BUTTERFLY」

BUTTERFLY(完全生産限定盤)(DVD付)

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ここ数年の間に発表されたシングル曲が11曲中7曲。すわ 「DAHLIA」 の再来か…などと聴く前は嫌な予感がしていたのですけど、よく考えると俺最近のシングルはろくすっぽチェックし損ねていたのでむしろお得感満載で嬉しい。にわかファンでごめんなさい。どの曲もシングルカット可能という意味ではかつての名盤 「True」 に匹敵するほどの充実度ではないかなとも思ったり。言いすぎか。


シングル曲だけを取ってみても、 「SEVENTH HEAVEN」 を彷彿とさせる高揚感に満ちた4つ打ちナンバー 「CHASE」 、男の自分でもゾクゾクとクるほどに狂おしく妖艶な 「X X X」 、パンキッシュなスピード感で突き抜ける 「GOOD LUCK MY WAY」 からの壮大なオーケストラルバラード 「BLESS」 、エッジの効いたダークネスで攻め立てる 「DRINK IT DOWN」 と結構なヴァラエティなのだけど、雑多とも言える曲調の幅でも彼らの一番の武器であるポップなメロディを常に中心に据え、これぞラルクという盤石の態勢をもって作られているので安定感抜群。そもそも hyde が歌えばだいたい何でもラルクになりますしね。また新曲の 「shade of season」 「wild flower」 は彼らなりのブルージーな翳りを打ち出した佳曲で、シングル曲連打による華やかさを浮かれ過ぎたものにしないようにクールネスを与える役目を果たしています。


しかしラルクはどれだけ年月が経とうともクセが抜け切らず、耽美派であることを忘れないのが素敵だと思う。今回で言えば 「X X X」 「BLESS」 「未来世界」 あたり。これも hyde のヴォーカルが在ってこそのラルクの強みだと思うのですが、どれだけ煌びやかに着飾ってもバンド本体が音に飲まれず、むしろ元来の魅力を助長させているのは他のロックバンドにはない地盤の強固さを証明しています。パンク、メタル、ロックンロールを意識し出した2000年代からポップに回帰した前作 「KISS」 までの流れを汲みつつ、ラルクがどういうバンドであるべきかをメンバー自身も完全に熟知した上で完成させた鉄板の内容。


でも良くも悪くも、ラルクを演るとおよそこういう感じのアルバムになるのは目に見えているので、ソロ活動が活発なのはそのせいかもしれませんね。


4年3ヶ月ぶりとなる通算12作目。


Rating: 7.3/10