THE BAWDIES 「1-2-3」

1-2-3 (初回限定盤)

1-2-3 (初回限定盤)


昨年の夏フェスで彼らを見た時は、メインステージの最後方までもれなく客を跳ねさせるパワフルなパフォーマンス、ロックバンドとしての器の大きさに驚かされました。本当に老若男女を問わず楽しませる勢いに満ちた演奏は、ビートルズストーンズを信奉する彼らにとっては理想のひとつであるだろうし、それを体現してるというのは奇跡みたいなことだなあと。多少アイドル的な側面があるのも彼らの敢えて目指すところでしょう。


そして今作。どう聴いてもいつものボウディーズです。ハスキーでソウルフルな黒人ヴォーカルに、50〜60年代への憧憬が詰まったオーセンティックな R&B /ロックンロール。前作と比べるとパンキッシュな荒さが多少増したかなというくらい。瑞々しいコード進行にグッとくる 「RED ROCKET SHIP」 や、アッパーな快活さに哀愁が一撮み入り混じる 「CAN'T STOP GROOVIN'」 、ダンサブルなグルーヴが一気に身体を突き上げる 「SING YOUR SONG」 あたりは印象に残りましたが、それ以外はよく言えばシンプルで王道、悪く言えば手クセの焼き直し。正直言って過去の作品との差異を見い出し難いです。


特に 「RED ROCKET SHIP」 や 「SING YOUR SONG」 なんかを聴けば、本来の音楽的な引き出しはもっと多彩なはずだと思うのですが、あくまでシンプルなロックンロールが多いのは今回の狙いなのでしょうか。そうだとしても曲によって出来不出来の差が激しい気がします。元々過去作においても 「HOT DOG」 や 「JUST BE COOL」 といったシングルナンバーがアルバム中で強い存在感を放っていたので、このバンドはコンピレーション盤が最も良くなるタイプなのかなと思いました。例えば Buzzcocks みたいな感じで。


1年7ヶ月ぶりとなる通算6作目。


Rating: 5.9/10