KAIKOOOOOOOOOOSAKA @ 大阪10会場


春の東京に続いて大阪にもやってきた KAIKOO 。アメ村周辺の10会場を使ったサーキット形式という MINAMI WHEEL よろしくのスタイルですが、こちらは所謂クラブの会場も使ってロックからダンスミュージックまで手広く揃えた構えで、転換時間なしでぶっ通しの会場もたくさん。つかアメ村ってライブハウスとかクラブとかどれだけあるんだ。以下見た感想をつらつらと。


スクイズメン @ Pangea
神戸出身の4人組。何も知らずブラリと立ち寄ったんですけども、オーソドックスなギターロックにシンセポップや音響のヒネリを効かせた感じ。まー最近よくあるタイプと言えばそうですけども、内省的で澄んだ音を聴かせるパートなど結構凝ってて面白いと思いました。意外に飽きなかったな。


流血ブリザード @ CLAPPER
何となく予備知識はあったもののちゃんと見るのは初めて。出囃子に 「Vanishing Love」 が流れた時点で 「ああ、俺は今からアホを見るのだな」 と意識を改める。殺害塩化ビニールへリスペクトを送る白塗り不謹慎パンクロック。それこそ毒殺テロリストとか好きな人にはジャストだと思います。いきなりナプキンをフロアに投げ散らしてはクラウドに雪崩れ込んで暴れたり、あとはみんなで X ジャンプしたり。この手のバンドはいつの時代でも一定の需要があるという意味で普遍的な魅力があるわけだし、個人的にも10年前の地下室系とパイプを繋いでいた殺害などの白塗り界隈に愛着があるもんで、何だかエヴァーグリーンな青春の光を見るような心地でした。ほんとかよ。


マッカーサーアコンチ @ Live & Bar 11
地下鉄のすぐ隣のビルにあるこの会場、存在は知っていながらずっと足を運んだことがありませんでした。入ってみたら高級そうなソファが並び、フロアの上をストロボの照明が交錯するという如何にもクラブといった作り。すいません俺今まで所謂クラブというものに行ったことがなかったもので、ライブハウスとクラブの違いを初めて知った気がしました。


そんでこの大阪の6人組。ファンクやディスコなどのグルーヴを咀嚼したダンサブルなロックサウンドで、良い意味でライトな賑やかさと少し垢抜けない感じが BOaT を彷彿とさせる。トロンボーンが面白いアクセントとなっていましたが、それ以上にグラサンとスーツでキメた鈴木雅之似のヴォーカルが存在感大。この日はアキレス腱を痛めてるとのことでほとんど直立でしたが、逆にそれが奇妙な存在感を助長していたような。 「御堂筋から始まる音楽のフシギ!…マジだぜ?」 MC も名言連発してた気がするよ。ユルさと熱さの共存がある意味大阪らしい感じで楽しかったです。


TURTLE ISLAND @ FANJ twice
KAIKOO とは馴染みの深い愛知の大所帯バンド。この日は10人くらいか。所狭しと様々な打楽器が並べられ、中でも前方に据えられた和太鼓が強いインパクトを放っていました。とことんリズムの力強さを打ちだし、民謡/祭囃子からレゲエ、ファンク、ブルーズ、パンクなど様々な音楽性をチャンポンした多国籍サウンド。例えば SOUL FLOWER UNION にも通じるワールドワイドな熱狂と哀愁、それらがパンク由来の骨太さでブーストされるといった具合で、とにかくグルーヴの放つパワーが半端なかった。血湧き肉躍るハイテンションなビートの連打に耐え切れず、思わず前方に突っ込んでしまったほど。男女混成で野郎の叩く野太いビートに艶やかな女性ヴォーカルが絡むのも、より熱さが増して良い。フェスにおいて鉄板の強さを誇るであろう素晴らしいアクトでした。


空きっ腹に酒 @ FANJ twice
昨年のフジロック ROOKIE A GO-GO にも出演していた大阪の4人組。この時間帯は裏にあら恋DJ BAKU が被ってたというのもあって動員はちと厳しかったですが、バンド自体は良かったと思います。蛇のような独特のアクションを交えながら言葉を矢継ぎ早に繰り出して浴びせるヴォーカル、エッジィでファンキーなグルーヴを繰り出すアンサンブル。何処となく INU を彷彿とさせるところがあり、そのふてぶてしさと青さ、そして突き刺すような気迫を見せる演奏は見応えありました。


YOLZ IN THE SKY @ Pangea
ギタリストの足元を埋め尽くす数多くのエフェクターとリズムマシーン。それと仕事帰りのサラリーマンのようなごくごく普通の青年。ミニマルで重たい4つ打ちキックを執拗に繰り返しながら、弦を少しずつ擦って奇妙なノイズを鳴らし、いつのまにかそれが大きく口を開けた悪魔のように肥大化していく。青年は無表情でリズムに合わせてふわふわ踊り、甲高い声で調子良く奇声を発する。ニューウェーブな、なんてニューウェーブな。 Neu!Kraftwerk などクラウトロックの影響を大きく受け、暗く湿っぽい研究室でひたすら実験を重ねるように音響とダンスの可能性を探求。その精神は業のようにニューウェーブです。30分一発勝負の暗黒4つ打ち地獄。凄まじいとしか言いようがありませんでした。


Vampillia吉田達也+竜巻太郎ツインドラム SET) @ FANJ twice
VERMILION SANDS とどっちにしようかギリギリまで悩んだ挙句こちらを選択。ピアノやヴァイオリンの狂おしく繊細な響きと、ブラックメタル譲りの毒々しいヘヴィネス。それらがダイナミックにぶつかり合う相変わらずの異形なサウンドでありました。しかしこの時点で23時近くでちと体力的に厳しかったのと、セッティングが結構長引いてテンションが下がってしまったのもあって途中退出。もう一回コンディション整えてガッツリ見たいです。


こんな感じでベストアクトは同率で TURTLE ISLAND と YOLZ IN THE SKY 。 KAIKOO は他のフェスに比べて自分の感覚にバシッとくるバンドが多い気がするなー。