Dinosaur Jr. 「I Bet on Sky」

I Bet on Sky

I Bet on Sky


相変わらず子供みたいな親父だこと。


分厚くやかましいギターと、それに食らいつくリズム隊の至極シンプルなスリーピース。ここにはダイナソー自身がオリジネイターとして確立してきた US オルタナティブ・ロック、それ以外には何もありません。というかそれ以外何が要る?と言わんばかりに、余計な装飾を省いた代わりに自身のヘロヘロ声が、それ以上にギターが、グルーヴが、全てのパートが歌いまくり。一個キモとなるテーマを決めたらそれをとことん繰り返し、良い塩梅に暖まったら自由気ままにギターソロを弾き倒す。本当好きなことしかやってないって感じの純度高いロックサウンドに思わず笑みが零れそうになります。


何故か太陽にほえろのテーマを思い出してしまった (すいません) 「Don't Pretend You Didn't Know」 、ハードロック色濃厚な 「Watch the Corners」 に心地良い疾走感の中で奇妙な展開を見せるオルタナ・カントリー 「Rude」 、砂塵を巻き上げながら猪突猛進する 「Pierce the Morning Rain」 など10曲。ガッチリした統一感のあった前作 「Farm」 に比べると今回は曲によって緩急をつけ、ハードロックだったりフォークだったりファンクだったりのエッセンスを注入してはいますが、それでも基本はいつものダイナソー。結局はただ気持ち良い演奏がしたいだけなのです。


この熱量に没頭できる激しさ、肉感的な心地良さであったり、メロディのカラッと乾いた郷愁ももちろんですが、何だか頼りなくて情けないけどやるときはやるって感じの憎めないキャラクターも含めて俺は好きなのかなーと。マイペースながら確固たる矜持を持って伸び伸びと活動を続ける、ある意味ロックバンドの理想形のような彼らを見ていて、聴いてるこちらもぼんやりとした憧れを抱かずにはいられないのでした。


3年3ヶ月ぶりとなる10作目。


Rating: 7.5/10