KAIKOO POPWAVE FESTIVAL '12 1日目


今年のフェス初め、並びに遠征初めでございます。



1日中、だいたいこんな感じの曇り空。お台場の拓けた土地にある船の科学館、そのスペースをフルに使っての野外フェスであります。ステージ間が近い割に音漏れなどはそこまで気になることもなく、広い休憩スペースもあって割と過ごしやすい…と思いきや、東京はまだ寒かった。大阪は割と春めいておったのでユルめの服装で向かったら、結構冬でしたね東京。こりゃいかんと思い物販でパーカー買って急遽防寒対策して臨みました。以下見た順に感想などを。


KING BROTHERS @ KING & QUEEN
ステージ名にピッタリのオープナーキンブラさん。今までにも何回か見てるんですが今回が一番良かった。彼らもギターウルフなんかと同じように、ロックンロールの型破りで破天荒なステージングをひとつの様式美とするタイプ。ガレージパンク的なささくれ立った音を盛大に放出して叫び散らすのですが、基本的にパフォーマンス重視であんまりまともに曲演奏してない。冒頭からマーヤがステージから飛び降りてダイブ、そのまま足を支えられてクラウドの上を直立移動。コレ2回やったんですが2回目は本当にフロアの最後方まで行っちゃって見えなくなった (笑) 。演奏よりもむしろこの神輿をやりたいがためのライブじゃないのかという。あと何回も客にマイク放り投げて早速マイクへこませたり、東京に来ても 「にーしーのーみーやー!!!」 コールアンドレスポンス。やりたい放題やるという痛快さでは間違いなくダントツに光ってました。笑ってはしゃげたので満足。


GALLOPS @ KING & QUEEN
この KING & QUEEN だけステージが2つ横に並んで用意されていて、交互にセッティングが行われるという仕組み。んで間髪入れずにこのウェールズ出身の4人組。強靭なドラムを屋台骨とするバンドサウンド、そこにキーボードやマニピュレートを重ねてマスロック的に展開するのですが、もうかなりモロに Battles フォロワー。キーボードの音色が似てるせいで余計そう思う。ただ曲の構築は練られていて単純に聴けば面白く聴ける感じでした。ここぞという盛り上がりに欠けるのは残念でしたが。



ビール買ったら見たことない缶が出てきたよ…よく見たら韓国産とのこと。俺そこまで酒に拘るタイプでもないんで良いけど、多分ビール好きは怒るだろうなと飲んでみて思った。


BITCH MAGNET @ GRAND MASTER
ステージを移ってまたも外人勢。こちらはアメリカ出身、80年代〜90年代にかけて活動していたポストハードコアの伝説、その再結成ということです。しかしうーむ、確かにハードコアらしい硬質な音の締まり、武骨な荒々しさはタフに響いてくるのですが、なんか曲自体がもっさりしすぎてて聴き所がわからんかったな…。演奏してる側からあまり緊張感のようなものが伝わらず、退屈に感じてしまいました。


トクマルシューゴ @ GRAND MASTER
いつぞやのフジ以来久々に見たトクマルさん。今回はバンド編成ということで前回のアコースティックヴァージョンよりも幾分か音に張りが出ておりました。しかしその一方で各自が小道具含め色んな楽器を操るからか、音のバランスがどうもちぐはくに感じてしまった。トクマル氏不調だったのかあまり声が出てないような気がしたし、妙にベースがブリブリしてたのもちと疑問。ただそういった難点を差し引いて、曲自体はとても良いと思いました。今回セットリストの約半数が新曲。そのいずれもが彼らしい牧歌的で朗らかな雰囲気、何気ないようでしっかりフックをもったメロディが印象的で、初見でも無理なく音の世界へ招き入れる独自の魅力を放っていました。代表曲 「Parachute」 「Rum Hee」 も演ってくれたし、ポップスの魔術師たる所以は発揮されていたと思います。


あらかじめ決められた恋人たちへ @ GRAND MASTER
こちらもフジ以来のあら恋。今回は持ち時間45分のうち演目が4曲という潔い構成。確か新譜の曲を演ってたと思うのですが、それらはレゲエのリズムからも脱却し、ほとんどポストロックの領域で力強くスペーシーな音世界を作り上げていました。ただ個人的にはレゲエの弛緩したダンスグルーヴがアッパーに押し上げられていく、あの爆発的な高揚感が素晴らしいと思っていただけに、そこからのリズムの変化自体は否定しませんが、まだ 「Back」 「ラセン」 のようなレベルには達していないかな、という印象。アンビエント風パートでは疲れてきたのもあって立ったまま寝そうになったり。しかしまー安心して楽しめました。



メシの塩麹豚丼。これ美味かった。今回のフェスはフードがどれも充実してて嬉しい。


MELT-BANANA @ GRAND MASTER
別ステージの DRY & HEAVY に少々後ろ髪を引かれつつ、昨年の I'LL BE YOUR MIRROR で運悪く見れなかった念願のメルトバナナ。ポップなのとロックなのと、両方を同時に極端な方向へ突き詰めていけばメルトバナナになる!もうのっけから高速ブラストビート×弦擦りまくりのラウドなノイズギターでぶっとばし、ヴォーカル YAKO 嬢はキュートなルックス、小柄な身体をスポーティに動かして甲高いシャウトで客をアジテート。長いキャリアを持つだけあって何処かリラックスしたムード、だけど演奏に入れば鬼のような速度で迫るポップハードコア。おそらく普段小さなハコでやってることをこの野外でも同じようにやった、ということでしょう。それで彼らはもう十分。当たり前のようにモッシュダイブも巻き起こり、俺も前列に飛び込んでキャッキャしてました。昨年の雪辱を果たせたのでご満悦。


Q-bert + D-styles @ BLACK EMPEROR
この辺から日が暮れてさらに寒くなる。でもさっきのメルトバナナで疲れたのでほどほどに身体動かせるのが良いな→ヒップホップ。しかし俺ヒップホップに関しては無知も甚だしいので詳細は分かりません。このユニットは DJ 2人、その間に仮面被った人がずーっと2人の様子見てたけどあの人なにしてたんやろ…。しかしコレは面白かった。ヒップホップ、エレクトロニカドラムンベースダブステップといった多種のビートをお題として出し、そこに DJ が交互にスクラッチプレイをキメていくというもの。そのトラックだけでもグルーヴの心地良さが伝わってくるし、スクラッチだけでここまで飽きさせずにステージとして見せられるのかと少々驚きもありました。これは彼らの妙技があってこそなのでしょうね。


DJ KENTARO @ BLACK EMPEROR
ヒップホップ面白いかもと思って続いて世界トップの DJ プレイ見るけど、あれーこっちはあんまり好みじゃないな…なんでだろう。おそらくビートの質感とか曲の嗜好とかに依るんだと思うんですが、同じようなことやってるように見えてやはり好みは分かれてくるものなんだなー、というか寒いのなんとかしてくれ。


mouse on the keys @ BLACK EMPEROR
本日のトリ。音源は聴いていたもののライブは初めてです。2人のピアニストと1人のドラマー、そこにサックスとトランペットがゲスト参加するという編成。皆がタイトなスーツに身を包んでさながらジャズコンサートのよう。そして始まった演奏にはやはりジャズらしい流麗な気品があるのですが、同時に力強いドラムを主とするアグレッシブな側面も大いに打ち出し、静かに燃える青い炎のような熱量をスタイリッシュに放出していました。ただ敷居の高い雰囲気を流すのではなく、確かなテクニックを感情の起伏に合わせてフル活用し、ムードを保ったままロック的なエンターテインメント性を高め、その均衡が高く危ういところで火花を散らしている感じ。管楽器隊もサポートらしからぬ主張で存在感をアピールし、バンドのアンサンブルが持つ熱量に油を注いでいく。特にサックスは時にはエレキギター以上に暴力的に成り得るのだなと再確認したり。トリに相応しいアクトでした。


そして2日目に続きます。