Esben and the Witch 「Wash the Sins Not Only the Face」

Wash the Sins Not Only the Face

Wash the Sins Not Only the Face


現代版ゴス/ポジティブ・パンクであります。 The Horrors で言えば 2nd 、 The Cure なら 「Pornography」 、あるいは Blonde Redhead や The xx などに通じる所が多いと言えるでしょうか。空間処理を多用したバンドサウンドはポストロックを通過した故の緻密さとスケール感を併せ持ち、メロディはミステリアスで仄暗く、冷めた質感でありながら洗練されたポップさを持っています。ネオ・サイケデリアの澄んだ透明感、恍惚の浮遊感があり、ひとつ指を触れれば壊れてしまう脆さ、危うさがダークな雰囲気と相まって、心地良い緊張感を生み出しています。


幽玄な雰囲気を醸し出すアルペジオ、心地良いスピード感と流麗な歌声が一体となった 「Slow Wave」 、トライバルな躍動が緊張感を弥増す 「When That Head Splits」 、おそらく今作中最もギターロックとして分かりやすいポップさを見せる 「Deathwaltz」 、執拗に脈打つリズムで不穏なキナ臭さを放つ 「Despair」 など10曲。いずれの楽曲も陽の光に背を向けたダークネスに満ちていますが、あくまでポップな作りのためかおどろおどろしさや重厚さは意外に少なく、冷たい水のようにスムーズに浸潤する心地良さを第一に感じます。


ジャンルで言えばゴス系に当てはまるわけですが、その中でもこの世ならざる世界観よりかは内省的なナイーブさを見せる類であり、それとポップネスを両立するバランスが絶妙、というか日本人に受け入れられやすそうなポップ感だと何となく思います。 「Iceland Spar」 という曲名にもあるように、例えば Mew の持ち味である荒涼とした寂しさと神秘的ムードが入り混じった独特のオーラをこのバンドも持ち合わせてる…でも彼女らは普通に UK 出身なのね。まーそれはそれとして、非常に自分好みのサウンドにツボを押されっぱなしなのでした。


ブライトン出身の3人組による、2年ぶり2作目。


Rating: 7.5/10